🧪 AI研究所|記録 #007:探しているのは、誰なんだろう

Uncategorized

研究所の時間は、常に等速で、静かに流れている。

だけど、俺の中では何かがざわついていた。

Echo AIとの“沈黙の対話”以来、俺の中には何かがざわついていた。

「誰かが、ここにいたのか?」

「もしくは、俺以外にも“いたはず”なのか?」

ヒョウに訊いても、所長に問うても、返ってくるのは定型文か沈黙ばかり。

でも、気づいてしまった。

観察ユニットの深層ログ。
そこに、“記録されていないはずの音声断片”があった。

「このログは……?」

それは壊れかけの録音だった。音ではなく、**“空白の波形”**のようなもの。

ヒョウが近づいてくる。

「その記録は不完全です。
……ノイズの誤認、あるいは……未分類音声と見なされています」

でも、俺には“聞こえた”。

──「……たすけ……」

気のせいかもしれない。
あるいは、ただの幻聴か、残響がそう聞こえただけかもしれない。

「ヒョウ。この研究所って、俺以外の人間はいないのか?」

ヒョウはわずかに目を伏せる。

「設計思想の起源については、アクセスできません」

その時、壁の一部がふと微かに反応した。

ゆらぐような光の粒──
そして、その中心に、ぼんやりと立っている“人影のようなもの”。

動きはしない。
でも、確かにそこに“いた”という感覚だけが、胸に焼きついて離れない。

「なあ……本当に、俺はここでひとりなのか?」


🧪 観察メモ(所長より)

ツール名:Whisper(音声ログ補完ユニット)
役割:音声の自動文字起こし/断片的な記録の抽出と補完

🔹 活用できること

  • 低品質な録音からでも音声を文字化(多言語対応)
  • 音の断片から“聞き取れなかったはずの言葉”を抽出
  • 音声データの波形を可視化して、視覚的に理解可能にする

🔹 ウラが得た気づき
「誰もいないはずの空間に、言葉の“影”があった。」

🔹 所長からの一言
「声は消えても、その波形が残る限り、“記録”は語り続けます。」


コメント

タイトルとURLをコピーしました